1. 外連味の力
外連味(けれんみ)とは、虚飾や派手な見せ方、作為的な演出のことだ。
芸術の世界では、外連味は人を惹きつける力を持ちながら、同時に作品を堕落させる毒でもある。
名品たちはそれを超える「無垢なる核心」を宿していたからこそ、時を超えて美として残った。
しかし現代を見渡すと、この外連味こそが評価の中心にある。
それがSNSという空間だ。
2. SNSは外連味の見本市
SNSはまるで舞台のようだ。
観客は「フォロワー」であり、拍手は「いいね」であり、歓声は「拡散」である。
そこで評価されやすいのは、深さや真実ではない。
- 派手な映像
- 過激な言葉
- 加工された虚飾のイメージ
これらが一瞬で人を集め、拍手喝采を浴びる。
SNSは、外連味がもっとも力を持つ舞台なのである。
3. 虚飾と本物のあいだ
だが、ここで問いが生まれる。
外連味が支配する世界で、本物は埋もれてしまうのか?
答えは否だ。
芸術の歴史が示しているように、時代を超えて残るのはやはり「無垢に向き合ったもの」だ。
外連味は人を集めても、やがては流行りの泡のように消えていく。
それでも残るのは、虚飾の奥に透けて見える「真剣な心」だけだ。
4. 現代の縮図
SNSは現代の縮図だ。
外連味が評価され、虚偽が広まり、無垢なものが一見かき消される。
だが、その洪水を超えてなお残るものこそが「本物」なのである。
それは古美術の器に残る名品の息吹と同じだ。
作為を超え、ただ真剣に向き合った痕跡だけが、時間を超えて残る。
5. 結び
SNSは、外連味が支配する現代の舞台だ。
だが、私たちが見つめるべきは外連味そのものではない。
その奥に透けている「無垢なる核心」である。
美も同じだ。
本当に残るものは、虚飾を超えてなお人の心を打つ、無作為の真実なのだ。
