江戸後期 木彫 民衆仏

¥15,000 (税込)

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囲炉裏ばたに長く祀られ、煤をまとって黒く沈んだ地蔵菩薩。小さな姿ながらも凛と立ち、庶民の日常に寄り添い続けた江戸後期の民衆仏です。

華やかな彩色を施された像ではなく、暮らしの煙に包まれて自然に黒くなった木肌が、祈りの歳月を映し出しています。細身の錫杖が今なお残るのは、手厚く守り伝えられてきた証し。摩耗や煤痕までもが信仰の歴史を語り、日々の安寧を願う声が像の中に静かに宿っています。

日常と祈りが重なり合う、その素朴な温もりを感じさせる一点です。

民衆仏・高さ約23cm/台座含む

民衆仏

民衆仏とは、寺院の荘厳な本尊とは異なり、地域や家庭の人々が身近に拝んだ仏像の総称です。必ずしも高度な技術で作られたわけではなく、素朴な造形や簡素な彩色の中に、祈りの真実が込められています。農村や在地の信仰を背景に生まれ、厳しさよりも親しみやすさを湛えるのが特徴です。人々は日常の安寧や病の平癒、旅の無事などを願い、このような像に手を合わせました。民衆仏には、庶民の暮らしと信仰が息づき、時代を超えて心を打つ力があります。

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