20250217 68

古雅という美

「古雅」という言葉がある。
私は、美とは、この一語に尽きるのではないかと感じている。

――雅でなければならない。

どれほど“ひょうげた”ものであっても、そこに雅が宿っていれば、それでよい。
それは、個の品格に他ならない。

孤高であることは美しい。
だが、孤高が摩耗しても、そこに品が残っていれば、それはなお美しい。

では、品とは何か。

それは、苔むす景色である。
瑞々しく、年月を吸い込んだ苔が、微かに匂い立つような――
言葉にすればたちまち消えてしまう、
絵にも描けない美しさ。

それこそが、品の正体であり、古雅の気配である。

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